9.25
「退院の日はお父さんすぐ帰っちゃたんで、一度一家4人で集まりたいから来て。交通費出すから。集まって写ルンですで集合写真を撮る、そういう会!」
長男は病院の待合室で父親にそう電話をしていました。
離婚しているので、長男が発病してからもホテルを取るなどして元夫とは顔を合わせていませんでした。かれこれ15~6年は会っていないので、長男の希望といえども最初は「お母さんは会うの無理」と言っていましたが、アルコール依存症は精神的な要因もあると聞くので、「優に何かわだかまりがあって、4人集まることでそれが解消されるならいいよ」と了解しました。
9.29(全員の了承を得て録音してます)
父親が着いて長男の話をみんなで聞くのですが、何を言いたいのかよくわかりません。
9.17の退院時にはすっきりと痩せていたのに、もうポッコリと出たお腹が目立ちます。
いつも私に言っていることを、私の方ばかりを見てしゃべるので
「お母さんは何度も聞いてるからお父さんの方見て話しなさいよ」と何度も促します。
そんなことを何度か繰り返したのち、意を決したように言ったのが
「お父さんとお酒を飲みたい」
私はぞっとしました。
長男が入院してから、私は毎日飲んでいた寝酒をきっぱりやめましたし、次男はもとから1滴も飲みません。アルコール依存症で入院までした人が唯一心置きなく一緒に飲め
るのは飲んべえの父親です。家族みんなの前でこれを宣言するためだけに遠くの地にい
る父親を呼びよせたのだと思いました・・・
電話で言っていた「写ルンです」の記念撮影も、父親への交通費も用意してありません
でした。福岡で仕事している父親に「10月いっぱいまで家に滞在してほしい」と
どう考えても無理なことも言います。
ぞっとしたことがもう一つ
父親「お酒飲んでいい?」
長男「もちろん♪」
別室に行った次男に父親は電話をかけて自分のお酒を買いに行かせようとしています。
私「昭二が酒買いに行くわけないじゃないの!!!私と共に大阪で壮絶な思いをしたんだから!!!見るのも嫌だって言ってるよ!!!」
この2日前には失禁までしたことを知らせたし、私としてはショックで仕方がなかった
のに、よくこんな状況で自分の酒を買いに行かせようとしたり、飲もうと思う事、その
配慮のなさが信じられなかった。
アルコール依存症界では失禁は当たり前なんですか?!?!
ふたりとも3か月もの長い入院生活をもう忘れたかのようなで振る舞いでした。
退院後2週間たっていませんよ!!!
元夫は大阪での私や長男へのひどすぎる対応も、入院1週間で中断させようとした変な
言動に対しても一言も謝りもしません。
私はその場にいるのに耐えられなくなってきて庭に出で座り込んでしまいました・・・
長男の深刻な症状を訴えても訴えても聞く耳持たないどころか、俺が俺がと高圧的だっ
た大阪でのこと、必死に病気のこと、会社のことを教え続けた入院中を思い・・・
沸々と怒りが沸き上がってきて・・・爆発しました。
そばにあった傘を振り回し、地面にたたきつけ、元夫に向かって叫びました。
「全部おまえのせいだ!!!!!
近寄るな!!!気持ち悪い!!!!!」
イラスト:次男
私は病むと攻撃型になるようです。酔っ払い達よりも(笑)
「優がかわいそうでかわいそうで」と号泣する私を長男は力強く押さえつけてきました。その感情はどういったものだったのかはわかりません。
後日、次男とは「日本列島の約半分を『お父さんとお酒を飲みたい』の一言のために
はるばる来る方も呼ぶ方も・・・」とちょっと笑い話にしています。
アルコール依存症×2には私の攻撃は何も響かなかったようでした。